少し前のことになるが、DVDで小津安二郎監督の 浮草 を見た。
小津監督が唯一大映で撮った作品だ。

小津作品についてはたくさんの人が大変面白い文章を書いている。
よく知りたいと思ったらそれらを読んだらいいだろう。
映画についてはもちろん好き嫌いはあるだろうが、私は大好きだ。
東京物語」をみて、いまいちーと思った人は
「お早う」「麦秋」「晩秋」あたりを続けてみて欲しい。
ギャグは一回では面白くないのとおなじで
コメディ映画も一作では面白くない。
小津監督の映画はコメディではない(コメディもある)が、浮草 [DVD]
笑えるシーンがたくさんある。
“偉い”映画だと勘違いしないで欲しい。


小津監督の映画によく出てくる役者の中で
一番好きなのは
杉村春子
次は笠智衆
「浮草」には笠智衆は少ししか出てこないので淋しかった。
しかし、杉村春子は・・・!!!


・・・・以下少々映画の内容に触れます・・・・・・・・・

杉村春子がすばらしい。
旅芸人の子供を産み、一人で食堂を営みながら息子を育て、他の女性と暮らしている実の父親のことはおじさんとよばせている。
愚痴も言わず凛とし、数年ぶりに子供の父親が来れば笑顔でうれしそうに迎える。
そんな女を、よけいな台詞を用いずに
背中で演技していた杉村春子
そして彼女に演技をつけた小津監督。
いい仕事っぷりです。