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「ファニーとアレクサンデル」のテレビ版DVDを見た。
http://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=19682
スウェーデンのベルイマン監督の映画で、
テレビ用5時間のものと
劇場用3時間の物が作られており、ストーリーはほぼ同じらしい。
数年前にこの劇場版の方をビデオか衛星放送で見たことがあり
そのときの記憶は“きれいで面白い映画”だった が
それは誤った記憶だった。
自分がおぼえていたのは
この映画のプロローグとエピローグで
メインとなる話の中の部分はすっかり忘れていたのだ。
主人公のアレクサンドルは劇場の主催をしている
演劇一家で育つ少年で、
暮らしぶりも裕福だ。
親戚も友人も 恋愛のもつれや多少の借金などはあっても
互いに仲良く 幸せに暮らしている。
物語の始まりは一族がそろってのクリスマスパーティから始まる。
このあたりはウッディ=アレンの「ハンナとその姉妹」を見たことのある人なら
あの映画をぐっとゴージャス(中身も映像も)にしたものを想像して欲しい。
映画をみてうれしい気持ちでどきどきして
時間の経つのを忘れる
気持ちがきれいな物で満たされる。
正月を過ごすのにふさわしい時間だ。
(以下ネタばれです)
ところが、第二話にはいり、
アレクサンドルの父親が亡くなり
寡婦となった母親が葬式で出会った牧師と再婚するあたりから話は違ってくる。
この牧師を嫌い 恐怖するアレクサンドルの思いと
見ている自分がシンクロしてしまい
後はほんとうに辛かった。
牧師が
「私にとって重要なのはそれが正しいかどうかだ」
といった意味のことを言うシーンがある。ずきんときた。
この考え方は信仰が理由なのだが
自分から見ると
権力欲を満たしているとしか思えない。
しかしまあ それはそれとして
やはり映画として
第一級のたのしみを味あわせてもらった。
おじさんのおならのシーンとか
下品で楽しいシーンも満載。
もちろん夢か幻想かというような美しいシーンも。
今度はストーリーを忘れないでおいて
心の準備をして またいつか見直そうと思う。
そのときは 心ゆくまでこの映画を楽しめるだろう。